新型コロナウイルス感染症の影響もあり、昨今では多くの企業で在宅ワークが展開されています。
政府も出来る限りのテレワークを推奨しており、今までのビジネスとは異なったスタイルが主流になりつつあります。ビジネスチャットの利用もこの新型コロナウイルスの影響を受け、リモートワークの業務効率化を図るため、利用する企業が増加しています。
数年前からビジネスチャットの利用はIT業界を中心に利用している傾向はありましたが、一気に加速してきています。ビジネスチャットはメールや電話とは違い、気軽にコミュニケーションが取れるツールとして人気がある一方で、気軽さゆえに気をつけなければならないマナーやルールも存在します。
実際にビジネスチャットを導入したばかりの企業の中には、「チャット内でのマナーが分からず悩んでいる」「チャット内でのマナーを社員教育する方法がわからない」といった声も少なくありません。顔も見えず気軽にやり取りできるツールだからこそ、守らなければならないマナーやルールは企業内でも意識づけする必要があります。
社会人としてビジネスチャットを活用する上で、どういった点に気をつけ、心掛ける必要があるのでしょうか?今回は、ビジネスチャットで気をつけるべき10つのマナーについて、ポイントとともに紹介していきます。
目次
企業がビジネスチャットを導入するメリット
そもそも企業側がビジネスチャットを導入する背景には、在宅のテレワークにおけるコミュニケーション手段として活用することがあります。
ただ、ビジネスチャットを導入しても、社員の利用率が低かったり、トラブルが発生したりしてなかなか浸透しないケースも少なくありません。そこにはビジネスチャットを効果的に活用しきれず、マナーなどの社員教育ができていないことが要因として考えられます。とはいえ効果的に活用すれば業務効率化にもつながるビジネスチャットには、多くのメリットが存在します。
ビジネスチャットのマナーを紹介する前に、まずはビジネスチャットのメリットについて3つほど紹介していきます。
簡易的なコミュニケーションツール
今までのビジネスシーンにおけるコミュニケーションツールはメールが中心でしたが、ビジネスチャットはメールに比べリアルタイムにやり取りすることができます。
また、メール以上に簡潔に要点だけを伝えたり、会話に近い形でメッセージを送ることも可能です。そのため、急な要件でのやり取りや、メールを送るほどでもないような内容を気軽に送ることができます。特にメールを送るほどではなくとも連絡しなければならないという点がポイントでもあり、このようなシーンはビジネスにおいてよくあります。「承知しました」だけをメールで送るのは面倒ですし、そのような際に簡易的にやり取りできるコミュニケーションツールとしてビジネスチャットは有効です。
プロジェクトチーム別の管理で業務効率化
多くのビジネスチャットには、グループチャット機能などと呼ばれるグループ分けした中でやり取りできる機能があります。
これを活用することで、各プロジェクト(部署や業務内容、チーム別など)でやり取りすることが可能になります。担当者別にグループ化し、その中だけで管理しやり取りできることは、タスクに関する内容のみを共有することができるため、余計な情報が入らず業務効率化につなげることができます。また、各種データのやり取りも簡単にできるため、作成した資料や画像素材、動画などのファイルもグループ内で簡易的に共有することが可能です。
場所を選ばず自由な環境で実施可能
新型コロナウイルスや働き方改革の影響もあり、職場以外の場所でビジネスを行うシーンも多くなってきました。
そのような流れの中で、ビジネスチャットは場所を問わず実施できるため、非常に重宝されています。インターネット回線さえあれば、音声通話やビデオ会議もビジネスチャットの機能で展開することも出来るようになってきています。先ほどふれたグループチャット機能とあわせ、プロジェクトチーム内でのコミュニケーションツールとして場所を選ばずどこでも簡単に展開できる点もメリットとして挙げられます。
ビジネスチャットを使う際のマナー
このようにビジネスチャットの活用には多くのメリットがありますが、とはいえ先ほども紹介したように社員の利用率が低かったり、トラブルが発生したりしてなかなか浸透しないケースもあります。この利用率向上やトラブル抑制のためには、ビジネスチャットを活用する上でのマナーが欠かせません。メールと違い比較的簡単にやり取りできるビジネスチャットだからこそ、しっかりとマナーを守って活用しなければ、社内の規律が乱れたり、効率が逆に悪くなってしまったりしてしまいます。
ビジネスチャットといえどビジネスマナーは重要です。ここでは必ず押さえておきたいビジネスチャットを使う際のマナーについて紹介していきます。
あくまで仕事としての連絡である
ビジネスチャットは、LINEやFacebookなどのSNSのように気軽にコミュニケーションが取れるツールであるがゆえに、日常的にビジネスチャットを利用していると、プライベートの延長線のような形で馴れ馴れしい使い方をしてしまうケースが多いです。また、グループチャットに含まれたプロジェクトチームのメンバーが同年代になればなるほどこの傾向は強く、つい気を抜いたマナーに欠ける使い方をしてしまうことも。
ただ、どれだけ親しい間柄であってもビジネスチャットはビジネスとしての活用になります。そのため、同期や後輩に送るメッセージだとしても、最大限の注意を払い、マナーを守ったビジネス会話で実施することが重要です。
簡易的なコミュニケーションが取れるビジネスチャットにおいて、このマナーの境界線は非常に難しいですが、グループチャット内には上司も含まれる可能性もあります。この上司は直接会話に参加していなくても、間接的にビジネスチャット内でのやり取りを確認している可能性もあるため、砕け過ぎず最低限のマナーは常に意識しておく必要があります。
レスポンスが重要
ビジネスチャットでは迅速に相手とやり取りできる点が魅力の一つです。
そのため、自分宛のメッセージに対してはレスポンス早く回答することが重要です。ここでもマナーとして、どうしてもすぐに返信できない内容であれば、「確認してご返信いたします。」や「少々お時間ください。」などと途中段階でも返信するといいでしょう。スムーズな情報共有やコミュニケーションを図るためにはこのようなレスポンスの早い対応が求められます。ビジネスチャット内でメッセージが届くと、アラートされる機能もあります。レスポンス早くリアクションを取るためには、このようなアラート機能も活用すると効果的です。
また、ビジネスチャットの中には、今の自分のステータスを公開できる機能もあります。「連絡可能」や「取り込み中」「離席中」といった今の自分の状態を表示させることができますので、ぜひ活用していきましょう。
ビジネスチャットでも敬語は必須
ビジネスチャットでは、基本的にはテキストベースのやり取りになります。
その中で、メールほど重くならなくても構いませんが、最低限の敬語は必要です。ため口などはもっての外で、どのような関係の相手であれビジネスシーンにおいてはマナーを意識することが重要になります。言葉遣いは、一度乱れてしまうとそのまま徐々に荒れだし、トラブルに発展してしまうケースもあります。「仲の良いチームだから」、「部下だから、後輩だから」といった形でなあなあにするのではなく、ビジネスとして割り切り敬語を使った方が良いでしょう。
また、ビジネスチャットは基本的に過去に投稿したメッセージの内容がログとして残ります。日本語を正しく使い、マナーを守ってスムーズな情報伝達や共有に努めましょう。
結論ファーストで、長文は控える
ビジネスチャットに限らず、メールであったとしても要件を簡潔に伝えることはビジネスシーンにおいて重要なポイントです。
長々と前置きを伝えても、受け取った相手は何を求められているのか分からなくなり、結果トラブルに発生する可能性もあります。なるべく長文は控え、結論を先に述べる形でメッセージを送信することがマナーでもあります。端的に分かりやすく要件を伝えることを心掛けましょう。
定型的な発信は極力避け要件を重視する
ビジネスチャットは、簡潔さや手軽さ、レスポンス的な要素がメリットとして挙げられます。
そのため、ビジネスチャットの中でわざわざ「お疲れ様です。」や「〇〇事業部の〇〇です。」のような定型文は必要ありません。メールであれば、挨拶文や名称の記載はビジネスマナーとして挙げられますが、ビジネスチャットでは挨拶を明記することで逆にかしこまった印象を与えてしまい、簡易的なコミュニケーションが取りにくくなったりします。
名称の記載もビジネスチャット内ではそもそも差出人が明記されますので必要ありません。マナー違反ではないのかと不安になるかもしれませんが、要件を重視したビジネスチャットにおいては特に心配する必要はありません。
社内ルールで「お疲れ様ですの挨拶は不要」としてしまえば、コミュニケーションによるマナー違反にはなりませんし、ビジネスチャットを使うことがより効率的になります。
案件に応じて適切なグループチャットを活用する
ビジネスチャットを活用していくと、先ほどメリットの項目でもふれたようにグループチャットを活用し、様々なプロジェクトや案件別に専用のルームで展開していくケースが増えていきます。そうすると、どの案件をどこのグループチャットでやり取りしていたのか混在し分からなくなるケースも多々あります。
関係ないグループで要件を伝えても意味がありませんし、そのグループのユーザーを混乱させる原因にもなります。要件を伝える際には案件に応じて適切なグループチャットを活用することがマナーです。
返信機能を活用する
ビジネスチャットの中には、特定のメッセージに返信させる機能や、宛先を指定したメッセージ発信機能などもあります。
このような機能を活用しメッセージ送信することも有効です。グループチャットを活用する人が多く、あれもこれも発信されると、どのメッセージに対する返信なのか分からなくなることがあります。
自分が発信したい事だけをメッセージとして送るのはマナーとしてよろしくありません。メッセージ前後のやり取りを汲み取り、返信や宛先指定機能などを活用すると効果的です。
いいね!やスタンプの活用
多くのビジネスチャットの中には、メッセージに対してリアクションするために「いいね!」や「スタンプ」といった機能が用意されています。
特にメッセージに対して返信する対象でなかったとしても、「共感した」「納得した」「理解した」などを表す上で、このような機能を活用すると効果的です。
ただ、いいね!やスタンプに関しては、状況見た上で対応することが重要です。上司の発言にスタンプすることがマナーとしてどうなのかなど、一度状況をふまえた上で実行するといいでしょう。
ビジネスチャットとメールは使い分ける
簡易的なコミュニケーションツールとしてメリットでも紹介したビジネスチャットですが、全てのビジネスシーンにおいて適応可能かというとそういう訳でもありません。
メールの方が効果的なケースも多々あります。そのため、ビジネスチャットとメールを上手く使い分けて運用していくことが重要です。一般的に社外とのやり取りや社内でも重要な案件などのやり取りはメールを活用する場合が多くなります。これに対しビジネスチャットでは、より簡易的な返信や用件のみの連絡、緊急性の高いやり取りなどにおいては有効です。案件や事象、要件に応じて上手く使い分けていきましょう。
個人情報の取り扱い
ビジネスチャットは簡易的なコミュニケーションができる反面、送信してはいけないことをうっかり送信してしまうケースもあります。
個人情報やプライバシー関連の情報、企業の機密事項やリリース前の情報など、自社の仲間だからという考えで公開していいわけではありません。社会人のマナーとしても非常に重要になります。自分の情報であったとしても、個人情報の取り扱いには最新の注意を払うことが重要です。
ビジネスチャットにおけるマナーのまとめ
いかがでしたでしょうか。
簡易的なコミュニケーションができるツールとして、多くの企業でビジネスチャットの需要は高まってきています。ただ、最低限のマナーを押さえた運用を心掛けなければ効果的に使いこなすことはできません。
今回紹介したマナーは、ビジネスチャットを行う上では最低限押さえておくべきものになります。案件や用途によっては、都度気をつけなければならない点も出てくるかと思いますが、相手を思いやりながら適材適所で運用していけばマナーをふまえた運用はできるでしょう。コミュニケーションを円滑につなげるため、効果的な運用を心掛けていきましょう。